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無意識過剰 第27話

いくらさわやかさを出しても効かない。青春ドラマのように夕陽に向かって走ってみても、スポーツドリンクのCMのように汗を拭っても奴らは消える気配がない。

「くそっ、どうしてコイツら…!」

消えないからといって、とりわけ危害を加えて来るわけではない。でも、コイツらからお嬢様を助け出すのが僕たちの使命なのだと思うと戦うことをやめることは出来ない。

もう、立ち上がる気力もないほどさわやかさを出しきったころ、奴らに変化が現れ始めた。
縮んだり、膨らんだりしながら次第に集まっていく。そうして集合した塊を使いかけのノリ(しかも、懐かしのデンプン糊だ)に手足がはえたような形の奴や、糸を通したままの針がたくさん絡まったような姿の奴が繋ぎあわせ一つの大きな生き物へと変化した。
大きさにしておよそ干した布団ほどの塊が近づいてきて、僕らにのしかかってくる。重くはないものの乾いてないデンプン糊がベタベタとくっつきフユカイだ。幼稚園の工作の時間を思い出す。ひとまず、今じたばたしても糊がくっつくだけだ。糊が乾くまでじっとしていよう。

しばらく待って、後悔の念が頭をもたげはじめた。そうだ、デンプン糊は乾くのが遅い。最近、テープ糊しか使っていなかったから忘れていた。だが乾くまで待たなければベタベタするだけだ。さらに待つ。
デンプン糊がそろそろ乾こうとした頃、どこからともなく羽音がしてきた。それは次第に大きくなり、大きなハトが舞い降りてきた。

敵だろうか、味方だろうかハトの様子を窺う。
目の前に降り立ったハトはタキシードの乱れを直すと深々とお辞儀をした。

「わたくし、由緒正しき矢車家の鳩、アーノルド・ポポロンチーネでございます。以後お見知りおきを。」

角度、スピード、礼儀正しさ、相手への心配りパーフェクトだ。このハトただ者ではない。
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白石アオイ

Author:白石アオイ

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