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無意識過剰 第9話

屋敷の内装によく合ったアンティーク調の電話(こう見えても、FAXとGPS機能付き。固定電話にGPSをつける必要性はどこにあるのだろう)がけたたましくベルを鳴らしている。


ガチャリ

「はい、もしもし」

「水津さんのお宅でしょうか?」

「はい、こちら水津家です」

「あ、すいません、掛け間違いました」

ガチャリ……ツーツーツー……

明らかに間違い電話ではない。あやしい……。というわけで、電話の前の廊下にぞうきんをかけながら、再び電話を待つ。
電話から一番遠い、廊下の端にぞうきんをかけはじめた所で、またベルが鳴った。もはや一種の嫌がらせだ。ここはひとつ皮肉でも言ってやろうと、お客様相談テレフォンセンターも裸足で逃げ出すような、とびっきりのさわやかな声で受話器を取った。

「はい、こちら水津家です。どちら様でしょうか?」

「ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世……」

いやさすがにそれは無い。ということは、これは奴らの断末魔だ。それにしても、まさか奴らが喋るとは。会話が妙にうまくつながっていたのもなんともいえない。
そんなことを考えていると、雑音が多かったのが急にクリアな音になり、受話器から音が聞こえてきた。

「お、やっとつながった。メイドの愛ちゃん、お母様いる?
 ってか、愛ちゃんって呼んだらいつも怒んのに、なんで喋ってねーの?」

もしかして、この電話の主は真さんだったのだろうか?それにしても、あのメイド長を愛ちゃんと呼ぶとは……。

「あ、僕はメイド長じゃないです。新しくこの屋敷に勤めることになった空井です。」


さて、電話の向こうで真さんはどんな顔をしているのだろう。

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