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無意識過剰 第15話

と、その時、足をもつれさせてしまい、僕はアクロバティックにこけた。もんどり打って数回前転をし、気づけばすぐ前は鏡。その勢いのまま、千手観音の腕がたくさん生えたロココ調の鏡に頭からつっこんでしまった。

「ここは……森だ。」

目の前に見える風景を確かめるように、そう呟く。森だ。じめじめとして、多少毒々しい色をした沼から泡がぽこぽことたちのぼっている暗い森だが、さっきの空間と比べればまだ秩序がある。僕は朽ちかけた切り株に座り込んで、ようやく一息ついた。変な気配がする……。



「俺なー、妹がいたんだよ」

かつて真は、そう言った。学芸会のダンスの練習だと言って、白い着物に、頭に4本のネギをしばりつけ、ポンポンを持った姿を見たのが最後だという。妹を思い出そうとしても、その姿しか浮かばないらしい(っていうか、どんなダンスだったんだ)。
今は放課後、夕日が赤く差し込んで、その格好をした俺たち3人をまがまがしく照らしている。あれから3日間、俺たちは練習を重ねた。

「どう見ても、怪しい宗教団体ね……」

「言うな。……行くぞ、ミュージック・スタート!」

手動でラジカセの電源を入れる。ハワイアンフラの、さわやかな情景を思い起こさせる音楽が流れ、俺たちは踊る。
――カサカサと音がする。こんなノイズは入っていなかったはずだが?

「何か起こるかもしれないな、気をつけろよ」

草をかき分ける音のようにも聞こえるその音は、だんだん近づいてくる。
赤い光が鏡を照らし、その時、真剣な顔で踊っている真の、鏡に映った姿が笑い――

「やっぱり聖子だ! そんな格好して、何やってるんだ?」

真はさわやかな好青年に姿を変え、そう言った。えらい目にあったよ、と言いながら、鏡の外に出てくる。

「いや、実はさ……」


9/30 白石

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Author:白石アオイ

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