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無意識過剰 第18話

「はい?」そう言って振り返ったすらりとした長髪の女性は、手に白くて丸い何かを抱いていた。

「あの~、これどうにかできますか?」

駆け寄ってきたその人につかまれた右手を見せると、抱いていた白いのを僕の頭の上に乗っけられた。変な感触だ……。そうしている間に右手ははずされた。だが、すぐさま左手をつかまれた。そして、左手をはずすと右手をつかまれる。さらに、白いアイツが頭の上からもったりと落ちてきて、顔にかぶさる。これを5、6回繰り返したところで、はずされた手をポケットに入れればよいことに気付いた。ネバネバするが気にしない。

「あの……ここは……?」

「ここは、フユカイフォレスト」

「フユカイ!」「フユカイ!」「フユカイ!」

女性が答えると周りの何かが復唱する。さらにその声が木々に反響しているように聞こえるが、実際は謎の何かが木に鈴なりになって叫んでいるらしかった。

「ここは時間の流れがザンネンだから、早く捜し物をした方がいいと思うよ。行くならたぶんあっちね。」

指さした方を向いても森が広がっているだけだった。振り返ってお礼と、名前を聞こうとすると、ザンネンな生き物達の流れにもみくちゃにされて遠ざかっていく。

「ありがとうございますっ! あ、あなたのお名前はっ」

ザンネンの中に沈みそうになりながらも懸命に叫ぶ。遠ざかっていく中で、サファイアという名前がかすかに聞こえたような気がした。


気付けば僕はそこにいた。ツギハギでもなく、フユカイな森でもない、どこか懐かしいような、それでいてサッパリとした、そう、豚(略)のような不思議な空間。
とても静かな中で、僕の息づかいだけがやたらと大きく響いた。

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白石アオイ

Author:白石アオイ

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