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無意識過剰 第20話

「残念ながら、見かけなかったよ。」

玲二さんの言葉に、真は肩を落とした。

「でも、あの空間にいることは確かだと思うんだ。妹さんがどこで消えたか分かるかい? 僕もなるべく協力するよ」

真の肩に手を置き、力強く断言した玲二さんはとても頼もしく、そして、さわやかに見えた。


玲二さんが屋敷に戻らなければならないと言ったので、俺たちも真の妹を探すと理由をつけ、同行する。真の家は高校からバスで30分程度。住宅街からは外れた場所にあるため、バスの中の人はまばらだった。あの衣装のままバスに乗るのはあまりにも公共のマナーに反しているので、もちろん制服だ。衣装は布部に置いてきたが、ネギはナマモノだ。1人4本×3人分+予備1本(これは、八百屋のオジサンのサービスだ。)計13本のネギはビニール袋に入って足元に置かれている。ネギの匂いが充満する車内で、これからどうするか、会議を始める。

バスを降りるまでに、少なくとも、このネギは今晩の夕食にすることだけが決まった。なんと不毛な議論だろう。真の気持ちも考えてほしいと思ったが、一番熱く議論に参加していたのは真だった。ネギ焼きについてあんなにも熱く語る高校生男子を俺ははじめて見た。


話には聞いていたものの、実際に真の家を見た時は驚いた。マンガの中だけだと思っていた屋敷が目の前に広がっている。メイドやコックまでいるというのだから驚きだ。

「あの、僕も一応この屋敷の執事だよ。バイトだけど。」

さわやかさをふりまきながら玲二さんが主張するが、今は13本のネギを持つことで精一杯なので答えられない。どうせなら、このネギを持ってほしい。

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白石アオイ

Author:白石アオイ

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