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無意識過剰 第25話

「アーノルド!」

間違いない。あれは私の愛鳩、アーノルド・ポポロンチーネだ。闇を切り裂く白い翼、燃えるような赤い目のハト。

「少年、ついてきてくれるか」

頷いた彼の手を握って走り出す。途中、ドレスを着た女性とすれ違った。

「サファイア、行ってくる!」

「いってらっしゃい。暗くなる前に帰っておいでよ」

アーノルドを追って木立の隙間を縫うように走っていると、突然足元の感覚が硬質なものに変わった。周囲の様子も、今までとは違い工場のような佇まいだ。

「アーノルド?見失ったか……」

「どこだろうね、ここは」

ともかく疲れた。日頃の運動不足が祟ったな……。
工場の床に座り込み、お互いに自己紹介をする。少年の名はノイズ・ノアというらしい。間をとってノイくんと呼ぶことにした。
さっきのドレスの女性はノイくんの姉さんか、と聞くと、彼はむちゃくちゃ微妙な顔で「違うよ……」とだけ答えた。


改めて状況を確認してみる。
私、矢車麻衣子。持ち物:ポケットにハトの餌の有機丸大豆。
ノイくん(私の延命装置)、持ち物:折り畳み式ナイフ。以上である。
これだけの装備では若干心もとないが、工場の中を探索してみることにした。……

4/21 白石

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Author:白石アオイ

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