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無意識過剰 第26話

工場のなかに人の姿はない。ただ忙しなくベルトコンベアが動いているだけだ。ベルトコンベアの上に並べられたガラクタが次から次に流れて行く。
生産ラインの途中にある箱の中にいくつかガラクタが入っていくとそれが1つにまとまり箱から出てくる。さらに先にある機械には世界史の用語集(平成22年改訂)がセットされている。
そして、その箱を通ったガラクタの集合体はどういう仕組みか謎だが自主的に歩いて、あるいは這ったり転がったりしてどこかへと消えて行く。工場の天井にから下がるプラカードには「耐さわやか加工」と書かれている。

…何の工場なのか想像もつかない。

目の前のベルトコンベアを見慣れたものが流れて行く。私のアーノルドだ。気付いた時にはすでに遅く、アーノルドは箱へと吸い込まれていった。タキシードが続くようにして箱に入り、ランプが灯る。軽快な音と共に大きなものが箱から出てきた。
…鳩がタキシードを着ている。背丈は180センチ程だろうか。用語集の装置に入る前にひょいとベルトコンベアから降り私の前へと歩いてきた。

「おやおや、お嬢さん良いものを持っていますね。」

よく響くバリトンボイスで話し掛け、私の手のひらから大豆をさらっていった。

「ア…、アーノルド…?」

「いかにも。私の名前はアーノルド・ポポロンチーネ。由緒正しい矢車家の鳩です。」

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白石アオイ

Author:白石アオイ

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